TOHOKU IGNITION DAY2 イベントレポート

10月18日(水)、東北で輝く起業家を東京に集めたイベント「TOHOKU IGNITION DAY2」が開催されました。


昨年からさらにグレードアップしたこのイベントについてレポートをお届けします!

 

TOHOKU IGNITIONとは

TOHOKU IGNITIONとは、今の東北の「面白さ」や「多様性」を伝えるために、仙台市が2017年9月〜2017年12月に4回にわたって都内で開催するイベントです。東北で先進的な取り組みをしている第一線の起業家の方々に東京に集まって頂き、毎回異なるテーマを設定して開催しています。

第2回のテーマは”まちづくり”。
まちづくり事業に携わる東北の起業家3名をゲストにお呼びして、アツく語って頂きました。

 

第一部 パネルディスカッション

開会に先立ち、仙台市経済局産業政策部地域産業支援課 起業支援担当主事の今野さんからイベント趣旨についてご説明いただきました。

そして、今回モデレーターを勤めていただいた特定非営利活動法人アスヘノキボウの小松さんにマイクが渡り、パネルディスカッションスタートです。

小松さん:「震災によって、東北の各市町村は大きな被害を受け、地域の様々な状況にあわせた新しいまちづくりがいたるところで始まっています。私自身も、宮城県沿岸の女川という地域で0からまちを再建するために事業に取り組んでいます。今回は東北各地で熱い想いを持ってまちづくりに取り組む3名のゲストの方にお越しいただきました。それではゲストの皆さんから自己紹介をお願いいたします。」

 

自己紹介

和田さん:「株式会社小高ワーカーズスペース 代表取締役の和田智行です。私は福島県南相馬市の小高という原発から20km圏内の地域で”地域の100の課題から100のビジネスを創出する“ことを目指し、コワーキングスペースの運営など様々な事業に取り組んでいます。

この地域はつい最近まで原発の避難区域に指定されていた地域で、解除後人口は震災前の13000人から8800人まで激減したうえに、実際に帰還したのは2200人程度という限界集落になってしまいました。厳しい状況下にある小高地域ですが、私はここにいろんなチャンスがあると考えて、様々なビジネスに取り組んでいます。

そんな私たちのモチベーションの源泉は「故郷のため」ではなく、「避難区域こそ現代社会における最後のフロンティア」だと考えていることです。小高地域は一度人がいなくなってしまったからこそ、0から街を作れる日本で唯一の場所であり、様々な歪みが生じている現代日本をやり直せるとしたらここからしかないと本気で思っていますし、私たちはそれができると信じて事業に取り組んでいます。」

 

※株式会社小高ワーカーズスペース さんについての詳細はこちら

本郷さん:「初めまして、株式会社GUILD 代表取締役の本郷紘一と申します。私は宮城県仙台市で美容室やコーヒーショップなどの経営をしています。生まれも育ちも仙台で仙台大好きな私ですが、特にまちづくりに対しては「欲しい暮らしを自分で作ろう」というスタンスで取り組んでいます。そのために人が寄り付かなかった公園を利活用してみたり、町全体で7つのフェスを同時に開催しながら、自分たちにとって理想的な街を少しずつ実現してきました。こういった活動の中で特に大事にしているのは、補助金を一切使わない民間主体のプロジェクトにするということです。行政を民間から巻き込んでいって、持続可能性を高めながら、様々なまちづくり・場づくりに取り組んでいます。」

 

※株式会社GUILD さんの詳細についてはこちら

石井さん;「こんばんは、釜石市役所 オープンシティー推進室長の石井重成と申します。私はお二人とは少し違って、岩手県釜石市の職員という立場でまちづくりに携わっています。どこの地域もそうだと思いますが、一口に復興と言っても、「ハードの復興」、「暮らし・生業の再生」、「持続可能性の探求」という3つのフェーズがありまして、現在は3つ目の持続可能な地域への探求を目指している段階です。そのために移住の推進や観光活性、高校生のキャリア教育など様々な事業に取り組み、地域の人口や経済が縮小しても力強く生き残って行くための施策に取り組んでいます。こういった活動を通して、誰もが自分の暮らしや生き様について”自己決定”を実現できる、レジリエントな地域社会を目指しています。」

 

※釜石市役所オープンシティ推進室 さんについてはこちら

 

パネルディスカッションテーマ①「みなさんの考える”まちづくり”とは?」

和田さん:「『住民の生業や毎日の営みが集積した結果出来上がったもの』だと思います。正直なところ私はまちづくりをやっている感覚はあまりなくて、住民のために様々なビジネスに取り組んだ結果、周りの方々にまちづくりだと評価してもらってるという感じですね。特別なことをしている感覚はあまりありません。」

 

本郷さん:「私はまちづくりという言葉の定義が最近変わってきた気がしていて、これまでは大企業や行政の偉い人が主体となって計画的に行うものでしたが、今では僕みたいな人間が工作的に行うものになったのだと思います。だからこそ、私たちが欲しいと思う等身大のまちづくりを実現できる時代になったのではないでしょうか。」

 

パネルディスカッションテーマ②「事業に取り組む中で大切にしていることは?」

本郷さん:「最初にもお話ししましたが、基本的に私は自分たちが欲しい暮らしをビジネス化しようとしています。しかし一方で、他の事業と同じく新しいことを始めるには様々な障害がつきものです。そういったときに出来ない言い訳というのは山ほど出てきますが、まずは身の丈に合わせて小さくやってみた上で『どうしたら実現できるのか』と考えることがとても大事だと思います。私もたくさんの失敗の上に今がありますし、やらなかったという結果は失敗ですらないと思います。」

石井さん:「嘘っぽさをなくすことです。一例として、ある地域では市の偉い人たちが集まって地元の学生をどう定着させるか考えている一方で、自分たちの子どもは東京に行かせようとする。”田舎には何もない…”という意識や、こうした光景は地域活性における嘘っぽさの象徴です。自分の大切な家族や友人を呼び込みたいと思えるような地域をどのように実現するか。まちづくりに関わる一人ひとりが当事者意識をもって探求していくことが大事だと思います。」

 

パネルディスカッションテーマ③「事業のビジョンや最終的なゴールとは?」

 

本郷さん:「仙台らしさを作ることです。仙台は学都仙台と呼ばれるほど学生の多い街ですが、大学進学後はそのほとんどが仙台に飽きて東京に行くわけです。これは仙台という街に色がなく、単なる東京の縮小版のような立ち位置になっていることが原因だと思っています。私たちの事業を通じて、仙台らしさをもっと創り出すことができれば、一度は東京に行っても戻ってきてくれる人が増えるのではないかなと考えています。」

和田さん:「存続して行くコミュニティを創ることです。これまで地域では、とにかく大きいものを呼び込み、そこにすがることで持続しようという動きがありました。しかし、その大きなものがなくなった場合、地域には何も残りません。原発の問題もまさにそこにあります。だからこそ、私は一つ一つは小さくてもたくさんの事業・活動を生み出すことで、街に人とお金の流れを生み出し、新陳代謝を高めて行くことで地域を持続させていきたいと考えています。」

石井さん:「『将来は地域に貢献したい』という学生は増えています。昨年度は釜石の高校生の地元就職率は約7割と過去最高値を出し、キャリア教育プログラムを運営する中でも実感します。しかし、その想い対して、私たち大人が地域で暮らす多様な選択肢をまだ十分に示せていないと感じています。地域を愛する大人たちが地域で挑戦し、その背中を見せることで、学生の将来の選択肢を増やし、挑戦する人のエコシステムをつくり上げることが私のビジョンです。」

 

パネルディスカッションテーマ④「震災によって、まちづくりの考え方はどのように変化したか?」

和田さん:「ここ数年で、『まちづくりは行政が行うものではなく、住民が主体的に行うものなんだ』という意識を持つ人が増えてきている気がします。小高という街の住民は、原発の問題などで行政ばかりに頼るのではだめで、自分たちでやるしかないんだとい意識が醸成されてきているので、今後この雰囲気が東北全域に広がっていくと、面白くなるんじゃないかなと思います。」

 

石井さん:「震災は私たちの価値観を変えました。自分の意思で地域に飛び込み、社会課題をビジネスやコミュニティを通じて解決したいという想いを持った人が増えています。21世紀の公共性とは与えられるものや、何か1つの大きな力が突き動かすものではなくて、個々人のモチベーションを原動力にし、多様なライフスタイルの集合として成り立つ。これが結果的にまちづくりという形に現れているのだと思いますし、そんな動きを釜石からもっと広げて行きたいです。」

 

会場から質問

 

小松さん:「ここで、会場の参加者のみなさまから質問を受けたいと思うのですが、どなたか質問はございますか?」

参加者:「私は今仙台出身東京在住の大学生で、将来的には東北に戻ろうと思っています。僕のようなUターンの人材はどのような役割を期待されていて、そのために残りの大学生活ではどんなことに取り組んでいけばいいでしょうか?」

 

石井さん:「人は自分で決めた道でしか走れないので、自分の意思で決めて下さい。極端な話をすれば、私は仕方なく地域に住んでいる人が100人いるコミュニティよりも、自らの意思で地域に住んでいる人が10人いるコミュニティの方が魅了的なんじゃないかなと思っています。人口減少時代のまちづくりは量より質です。もし戻りたいのだとしても、『何を期待されているのか』を知る以上に、『何をしたいか、何ができるのか』を見つけてから戻るスタイルでもよいかもしれません。将来楽しみにしてます!」

 

小松さん:「ありがとうございます。そろそろお時間なので、最後に本郷さんの方から締めの一言をお願いします!」

本郷さん:「これはまちづくり分野だけに限らないと思いますが、新しいことをする時は無理だと言われまくるんですよね。僕自身もたくさん否定されたのですが、それでも自分はいけると思ったから25歳で起業し挑戦しました。無理だと決めていいのは自分だけだと思います。皆さんもぜひいろんなことに挑戦してみてください!」

 

第二部 懇親会

 

第二部は懇親会です。先月に引き続き、東北の美味しい飲み物・食べ物が集まりました。

仙台市経済局産業政策部地域産業支援課の白川裕也さんの乾杯の挨拶で第二部が開始!

参加者がゲストの方々と一対一でお話しできる貴重な機会。あちこちで名刺交換や、熱い議論が交わされていました。

非常に盛り上がり最後は一本締めで終了。参加者の皆さんも帰りを惜しむ姿が多々見られました。

 

終わりに

 

いかがでしたか?

今回も大いに盛り上がったこのイベントですが、12月まで全4回実施いたします。

次回以降も東北で輝く、アツい起業家の方々をお呼びする予定です。

今回参加された方も参加できなかった方もぜひ、奮ってご参加ください!