TOHOKU IGNITION DAY4 学生特派員レポート1

TOHOKU IGNITION 2017では、仙台・東北在住の学生に往復の交通費をお支払いして、本イベントに「学生特派員」として参加していただきます。

普段、身近で聞いている東北の起業家の話や、当たり前に過ごしている東北の生活について改めて東京で聞くことで、新しい気づきがうまれることを期待しています。

東北の起業家の話を東京で聞き、学生特派員は「何を感じ」・「何を考えたのか」こちらでレポートを掲載いたします。

 

 

皆さんこんにちは!

 

東北大学経済学部2年の前田駿一郎と申します。

 

青森県弘前市生まれで、大学進学を期に仙台に引っ越しました。

 

私は、自分の「実力」と「思い」で自分の人生を切り拓いていけるような人間になりたいと考えています。そのために、将来的には独立起業というキャリア選択を視野に入れています。

 

そしてフィールドとして、自分自身これまで20年間生きてきた東北という地域を選び、価値提供することで恩返しがしたいという思いを持っています。

 

そこで、東北という場で起業するというキャリアを歩んでいる先人達の人生を知り、参考にしたいという思いから、今回TOHOKU IGNITIONに学生特派員として参加してきました。

 

◎自らの存在意義とは

「これは自分じゃなくてもできることなのではないか?」、「自分が生きている意味って一体何なのだろう・・・」。基本的に内向的で物思いに耽りがちな私は、よくこのように考えてしまいます。

 

スキルの換えなんていくらでも利く現代社会で、自分の存在意義とは果たして何なのでしょう。

 

今回お越し頂いたお二方は自分自身でその答えを見つけていました。

 

今や5%にまで減少してしまった、日本酒の伝統的な製法である「酛(きもと)づくり」を活かした、「大七酒造」を営んでいらっしゃる太田さんは、「伝統を引き受ける生き方」こそが自らの存在意義、在り方であるとおっしゃりました。

(大七酒造の太田英晴氏)

新しい手法ばかりが注目されるという、「目の前の現象」はあくまで一時的な物であり、いつか皆の価値観が「伝統」に向かう日が来る。今は何のプラスにもならないが、その時が来るまで伝統を残し続ける事こそが、自らの使命であると、太田さんは語ります。

 

希少な伝統製法を今の時代に維持し続ける事は非常に難しいことでもありますが、だからこそそれが強みにもなっているのだと思います。そして東北という場だからこそ、それが可能なのではないでしょうか。

 

一方で、震災後人口が3割に減少してしまった蛤浜で、Cafeはまぐり堂を営み、暮らし・産業・学びの3つを軸に活動していらっしゃる亀山さんは、「地域の外の人間と内の人間のバッファになること」が自らの存在意義であると語ります。

(一般社団法人浜のねの亀山貴一氏)

 

亀山さんは、自分が大好きな蛤浜という地域を残していきたいという思いから事業を立ち上げ、その中で、地域の中で育った人と外から来た人の両方が同時に地域を良くしようと動いたとき、個性がばらばらな人たちが上手くマッチせず失敗することが多いという部分に課題感を持ちました。そこで、そんな個人の間に入り、上手く個性の化学反応を起こさせることが自分の使命であると位置づけました。

 

そして各々が自分のやりたいことを実現できる場になりたい、そのために利用して欲しいと亀山さんは語ります。

 

お話を通して、スキルに囚われない、「自分にしか果たせない役割」をお二人は果たしているのだと痛感しました。またその役割の源泉には、自分が価値があると信じる対象への「強い思い」があるのだと私は思います。

 

知識(Knowing)や行動(Doing)だけではない、それらの軸となる価値観や信念(Being)がお二人からは強く感じられ、そういった部分がハーバードビジネススクールの学生に強く響いたのではないでしょうか。

 

◎東北の可能性

冒頭でも述べたとおり、私は将来的に東北での起業を視野に入れています。ですが一方で、起業する環境やコミュニティなどは、やはり都心の方が整っているというのもまた事実としてあるように感じます。

 

そんな中で、東北にはどのようなチャンスがあるのか、起業する土壌としての東北はどのような特徴があるのか、僕自身考えることも多いです。

 

そんな「東北の可能性」について、今回お二人から貴重なお話を頂けました。

太田さんは、東北の可能性は「素材の豊かさ」と「余白」だと言います。

 

ご自身のビジネスの例では、まず東北は食材が非常に豊かであることが大きな強みだと言います。ですが、そういった良い食材は主に都心に流れ、地元で嗜めるのは家庭料理レベルだそうです。太田さんは、近年はそんな東北により良質な食文化を根付かせたいという思いで活動しています。そのようなまだまだ埋める余地のある空白の部分こそが、逆に東北の強み・伸び代であると語ってくれました。

 

亀山さんは、東北の可能性は「イノベーションが起こりやすい環境」だと言います。

 

まず、震災や様々な社会課題を背景に、多くの危機感を持った人が集まるというのがイノベーションの起こりやすい理由として挙げられます。また、東北はビジネスを起こすための素材が安価で転がっており、東京と比較してリスクが低いことも相まって、チャレンジしたい人がチャレンジしやすい環境が整っているのだと語ってくれました。

 

お話を通して、東北には解決するべき課題、埋めるべき余白が多く存在していることで、逆にその分可能性が広がっているという部分がお二人の考えの共通点として挙げられると思いました。そしてその余白を埋めるために挑戦するための環境も整っています。

 

私はこれまで、東北での起業は、同じモデルで東京で起業しても勝てないからするものであって、言わば「劣化東京」のビジネスモデルばかりなのではではないかと考えていました。ですが、お二人の話を聞いてその考えを改めさせられました。お二人のビジネスは「東北じゃないと勝てない」モデルではなく、「東北でしか実現できない」ものであり、そのような東北の独自性に根ざしたビジネスこそが真に可能性を持つのだと思います。

 

◎まとめ

お話をして頂いたお二人に加え、今回モデレーターを務めて頂きました「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか」の著者である山崎繭加さんも、「自分が価値があると信じる物」に対する思いが非常に強く感じられました。太田さんにとっては、「古くから続く日本酒の伝統」、亀山さんであれば、「豊かな自然を残す地元の蛤浜という地域」、山崎さんであれば、「志の重要性」。各々信じる物は違えど、そこに対する強い思いは共通して持っており、だからこそ大きな事を成し遂げられるのだと思いました。

 

私は現在強い情熱を捧げられる物がありません。地元は好きですが、そこでの課題を解決しなければというような強い思いは持てず、無条件に熱中できるような趣味も無い。学生という立場で様々な活動に関わらせて頂いていますが、まだまだ自分探し中といった所です。

 

自分が本当にやりたいこと、何を守りたくて、何が許せないのか、それを見つけることが出来たら、今回出会った3人のように迷わず行動に移したいと思います。

 

そしてそのフィールドとして、私にとって東北は正に理想のチャレンジの場になるのではないかと感じました。