TOHOKU IGNITION DAY4 学生特派員レポート2

TOHOKU IGNITION 2017では、仙台・東北在住の学生に往復の交通費をお支払いして、本イベントに「学生特派員」として参加していただきます。

普段、身近で聞いている東北の起業家の話や、当たり前に過ごしている東北の生活について改めて東京で聞くことで、新しい気づきがうまれることを期待しています。

東北の起業家の話を東京で聞き、学生特派員は「何を感じ」・「何を考えたのか」こちらでレポートを掲載いたします。

 

 

こんにちは!東北大学経済学部4年の倉田健太郎です。

今回は、TOHOKU IGNITION DAY4に参加しての感想、想いをお伝えいたします。

1.自己紹介

生まれも育ちも秋田育ちの私は、秋田の雪と自然の中で育ってきました。高校入学直前に震災が起き、秋田も沿岸部に比べればわずかではありますが、被災しました。

 

その時の、信じられないような新聞の津波写真がなにか記憶に引っかかっていた私は「東北のために何かできないか」と漠然とした考えをもって東北大学に進学しました。

そこで、被災地を無料でめぐる演劇のボランティア活動に参加。その後、東北で事業を起こす人を対象にしたクラウドファンディングのインターンを行いました。そこで感じたことは、「東北にはエネルギーを満載して働く、輝く大人がたくさんいる」という事でした。地元や東北は好きだけれど、どうしても働くことに関してはマイナスのイメージを持ちがちだった私にとって、大きな転機となる機会でした。

そんな東北で輝く大人たちを知った私は、東北で活動する人、どんな気持ちで活動している人たちが、どう東京の人と違っていて、都会の人々にはどう受け取られるのかが知りたいと感じ、TOHOKU IGNITIONに参加しました。

来年から東京で働く(予定)の私ですが、実際にイベントに参加してみて、「東京で働く」ことと「東北で働く、起業する」がどんな風に違うのか、東北の学生の目線からお伝えしたいと思います。

 

2.感じたこと:東北ならではの「想い」に忠実な仕事が増えている

 

 登壇されたお二方は、ご自分の信念を持って仕事をされています。福島県の酒蔵「大七」の10代目当主である太田さんは「伝統の継承」であり、自らの故郷の限界集落にカフェを作った亀山さんであれば、「自分の故郷を残したい」という信念を持っています。自分の価値観や考え方が強く反映された仕事は、東京よりも東北に増えているのではないかと感じられました。

(福島県二本松市の大七酒造10代目当主の太田さん)

 

 太田さんが蔵を継ぐことを決めたころ、自蔵のお酒とは正反対のお酒がもてはやされ、多くの人から「作り方を変えた方がいい」と言われたそうです。しかし、太田さんは変えなかった。

 

「大七が辞めたら日本中から伝統の酒造りがなくなってしまうじゃないか、大七の使命は伝統の酒造りを残すことだ。」

 

こういった選択をしたことが、今では大七を酛(きもと)づくり」の第一人者としてゆるぎないものにしています。もしかしたら、東京ではこういった選択はできないのかもしれません。東北だからこそ、短期的な利益ではなく自分の信念や使命に忠実に向き合っていくことで「東北にしかない価値」が生まれてきているのでしょう。

 

3.感じたこと:課題が多く、狭いからこそ自分の力が生きる「達成感」がある

 

 もちろん東北には、課題も多くあります。しかし、だからこその東京にはない面白さや、やりがいがあると感じられました。

自らの故郷を残したいとカフェを作った亀山さんは、もともとは水産高校の教師でした。震災後に「故郷の蛤浜を何とか残したい」という思いに忠実に、浜の理想図を描いてたくさんの人に見せた亀山さん。その想いに共鳴した多くの浜内外の人が集まって来てくれました。実際に作った「カフェはまぐり堂」は週末100名もの人が訪れるようになり、限界集落だった浜は、良さを保ちながら残る浜に生まれ変わってきています。

 

 就活等の活動を通して、多くの都会で働く社会人の方の話を聞くことがありました。多くの人たちは毎日いきいきと仕事をしていらっしゃいましたが、深く話を聞くと「会社での貢献やお客さんの喜ぶ姿」が感じ取りにくいともおっしゃる方が多くいました。会社も大きく、人も多い東京では、自分が働いている意味や、自分が働いて幸せになった人がどれくらいいるのか、がリアルには感じ取りにくくなっていると感じます。もちろん、仕事は生活の手段ではありますが、私はそれ以上の「働く意味」をもって仕事ができたらより幸せだろうなとも思います。

 

 亀山さんのように、東北では動き始めるだけで、多くの人が動き、町が変わります。自分のやったことで社会が良くなる。その目に見える成果が出ることは、都会では味わえない感覚なのではないでしょうか?

 

4.まとめ

 

 

 私は東北の暮らしが好きです。周りの人とつながりをもって生きていく暮らし方は、都会よりもやりやすいと感じます。ゆっくり時間が流れ、四季を感じられるのもとても良い。いつか戻ってきて、暮らしたいと思っています。

 

 しかし、仕事については具体的なイメージを持てない状態でした。東京の方がやりがいがあって楽しい仕事が多いのではと感じていました。でも、今はそうではないと感じられています。東北には、東京にはない仕事の生み方、やり方、得るものがあるという事を感じられました。東京には東京の良さがあり、東北には東北の良さがある。一義的にものさしで測れるものではないのではないでしょうか?

 太田さんが「一度震災を経験し、一度まっさらになったからこそ東北の各地で覚醒が起こった」とおっしゃっていましたが、本当にその通りだと思います。自らのミッションを持ち動く人が確実に増え、それに共鳴する人も本当に多くなってきています。だからこそ、みんなが挑戦ができる風土が育ちつつあると感じています。挑戦的な仕事が東北には集まってきています。

 しかし、地元に帰ると、まだ地域内で完結して、地域外を見ていない人が多いと感じます。その意味では一度東京にどっぷりと浸かってみたいと思っています。

「東北の外では、東北はどう見られているのか」

「東北には何が求められているのか」

「東京の人たちは、東北のどんなところに魅力を感じるのか」

 

一度都会の人になることで肌で理解して帰ってきたいと思っています。そのためには意思を持って帰ってきたい。地域の外からの目を入れながら、地域の魅力をゆがめずに伝えられる、そんな人になりたいと思っています。

 

 東北で働くという事が、私自身も本当にはわかっていないのかもしれません。なぜなら、まだ働いたことがないから。本当のところは、実際に働かないとわからないと思っています。

 でもこのイベントを通して、「東北で生きる、働く」という事が具体的にイメージできるぐらいに感じることができました。どんな生き方が最適かは人それぞれですが、その中に「東北」という一つの選択肢を増やせるイベントだったと思います。もし迷っている学生、社会人の方がいらっしゃったらぜひ一度来ていただきたいと思います。確実に何か得るものがあると思っています。

 

来年度の開催も期待しています。