SENDAI for Startups! ビジネスグランプリ2017
受賞者インタビュー
優秀賞
株式会社Fabtech 鳥居彰夫さん

2017年2月5日のファイナルイベントで幕を閉じたビジネスグランプリ2017。
当日のプレゼンテーションだけではお伝えできなかった各受賞プランの内容とその背景、受賞者の起業への思いなどをお伝えします。
グランプリ大賞、優秀賞、各特別賞に輝いた受賞者たちに、自社事業の強み、起業までの道のり、そして今後の展望についてお話を伺いました。

——御社が手掛ける面状発熱体の優位性をお聞かせください。

我々の面状発熱体は、1メートル当たり1200本の横糸1本1本が発熱するという織物です。ほかの面状発熱体と比べて一番の利点はレスポンスが早いこと。通電して数秒で温度が一定になり、制御もしやすく、体温くらいの温度を維持することもできます。平均温度40度という場合、電熱線は高いところと低いところの平均ですが、これは全体が同じ温度で、上に人が寝ても部分的に熱くなることはありません。

ほかの面状発熱体は一体化しているので、例えばどこかに穴が開くと発火したり局部的に高熱になるホットスポットができてしまったりしますが、これは糸が独立しているので切ってもその部分が発熱しなくなるだけで、スパークもしない。そういう安全性もあります。

当社の面状発熱体を用いた融雪マットは、表面がムラ無く均一に温まるため消費電力が同じ他社製品より雪を早く溶かします。また、電源のオンオフ等の制御もきめ細かく行えるため、30~50%の省エネに繋がります。薄い紙のような形状だというのも特長で、例えば樹脂の中に埋め込むこともできるので、雨どいや配管用のヒーターに利用するなど、薄さを生かした使い方も可能です。

 

——開発に至るまでの経緯と、どのようなところで使われているかを教えてください。

もともと私は日本油脂㈱(現・日油㈱)で火薬類の研究を27年間やっていました。北海道の美唄市にも工場があって、この工場は炭鉱用の爆薬を作っていましたが、石炭産業の縮小に伴い、従来技術の転用でグリセリンを使った非塩化物系凍結防止剤を開発しました。その辺から雪の世界に入ったということになりますね。

その開発が軌道に乗ったところで退社し、10年ほど前にソーラーパネル関係の企業の技術員になりました。東北のソーラーパネルは雪が積もってしまったり、その雪が落ちて事故が起きたりすることもあって、対策が必要だと感じ、何かいいものはないかと調べた結果、㈱クラレさんが作った導電性繊維の生地にたどり着きました。

実験の結果、融雪には非常に有効だということが分かったのですが、㈱クラレさんのその素材は幅1750ミリ×長さ50メートルという反物で、いかに自在にサイズを変えて製品化できるかという点で課題が残っていました。試行錯誤の末、ステンレスの糸を縫い合わせる方法で均一に電気を通すことができるようになり、一気に汎用性が広がりました。この電極の特許を㈱クラレさん、シナネン㈱さんと一緒に共有しています。

実用についてですが、2015年に東京・八王子の高速道路で車両検知装置に雪が詰まりETCが止まったことがありました。それを機に、この素材は雪対策として採用され、2016年度の冬から順次導入されています。ほかにも、事故防止や検査員の安全確保のためにトンネルの氷を溶かしたり、雪国の駅でホーム上が凍って滑る事故を減らすために使ったり、並行して試験的に設置し、評価しながら進めています。

ただ1シーズン使って評価して課題を解決して、また次の年に試してということで時間がかかり、なかなか一気に進むものではないので資金繰りには本当に苦労しています。

 

——今後の展望と、それに向けて一緒に取り組みたいビジネスパートナーは?

課題になっているところはだいたい共通しているので、そこがクリアになるとせきを切ったように全てが一気に動き出すと期待しています。技術は優れているが何に活用できるか分からないというものと違って、われわれの技術・製品は明確に用途が分かっているので、決して先が見えない事業ではありません。

非常に可能性のある素材だと思いますので、こういうことに活用したい、応用して何か新しいものを作りたいという方がいればぜひ一緒にやっていければと思います。実際の設置には施工や電気工事も必要になるので、そういう業者さんとの協力関係も欠かせません。ビジネスグランプリに出た目的の一つも、皆さんにアピールして一緒にやってくれるところを探そうということでした。おかげさまでその輪も広がってきています。

株式会社Fabtechについて

株式会社Fabtech
代表取締役 鳥居彰夫さん
設立時期:2015年8月
事業内容:雪害対策用の製品開発
所在地:仙台市若林区若林4-7-16
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